これぞ幻想文学
香山滋との出会いは、角川ホラー文庫「十の物語・高橋克彦編」に収録されていた「月ぞ悪魔」であった。ホラーというより怪奇と幻想。異形のものたちと異郷をトリップする感覚。読後、すぐに香山滋作品を探したが、過去の出版物はすべて絶版、復刻版でさえ品切れ状態が続いた。そんなとき、検索して見つけたのが、この出版芸術社「月ぞ悪魔」だった。エキゾティシズムあふれる表題作「月ぞ悪魔」をはじめ、オラン・ペンデクのシリーズ、海鰻荘のシリーズ、そして妖しく美しい女性たちの物語「蜥蜴の島」やグロテスクな男の悲哀「処女水」など魅力的な作品が多く収録されている。装丁も雰囲気があって美しい。秘境や古生物学に興味のある方、また「ゴジラ」の原作者としての香山滋しか知らない方、そして現実を離れてひと時の妖夢にひたりたい方におすすめしたい。
出版芸術社
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